| 『さあ、アップルパイも焼けたし…紅茶でも入れようかしら?』
テレビの中のお母さんが喋る。
『あら、雨降って来ちゃってる! 港ー、洗濯物取り込むの手伝ってー!!』
『はーい!』
テレビの中の 誰か が返事する。
『港、これ運んで……きゃあああっ!!』
お母さんのお腹に包丁が刺さった。
そしてお母さんを刺したのは…
―――紛れもなく、私だった。
「港ー、洗濯物取り込むの手伝ってー!!」
お母さんが私を呼んだ。
「はーい!」
勝手に体が動く。
私はどこからか、包丁を出すと1階に向かった。
嫌。
私、お母さんを刺すなんて嫌。
「港、これ運んで……きゃあああっ!!」
私はお母さんを刺した。
お母さんはそのまま、リビングに倒れ込んだ。
……甘いアップルパイの香りと血の臭いが部屋に広がった。
|