| 「かなちゃーん!お兄ちゃん起こしてきてー!!」
「はぁーい!」
トントントントン
階段を上る音が聞こえる。
どんどん足音は近づいてきて…
バンッ!!
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!!!!
ドアを開けるとうるさい目覚まし時計の音。
「あー!うるさいなー…。なんでこんな大きい音でも起きないんだよー!!」
妹の叶が時計の音を止める。
「お兄ちゃん!?起きなよ!!何!?死んだの!?」
うぅ…。朝っぱらから心にナイフが突き刺さる…。
「起きてるよ…。死んでなんかないから…。叶…。口に気をつけろ…。」
「ったく…。情けない!男の癖に!!だらしないね!ホント!」
「そこまで言うか…。叶…母さんに風邪引いたから中学休むって言っといて。」
「はぁ!?そんなの自分で言え!!アタシはもう家出るんだから!」
なんて妹だ。兄が苦しんでると言うのに…。酷い妹だな…。
「頼むって…。母さんにお兄ちゃんが死に掛けてるって言ってきて。ゴホッ ゴホッ」
「もぉー!しょうがないなー。つかさぁ、何でお兄ちゃん顔見せないの?」
バッと布団を取ろうとする。アレ?という顔で、
必死に布団を引っ張って取ろうとする。
「おい…叶…。寒いから…布団抑えてるんだよ…。ゲホッ」
「あ、そ。じゃね、死に掛けてるじいさんよ!!」
「バカッ!!俺はじいさんじゃねぇ!!お兄ちゃんだろがぁ! クソ女め!さっさと行っちまえ!」
布団の中から必死で叫ぶが、声が嗄れて叫べない。
「ゲホッ!ゲホッ!あんにゃろぉ…。妹の癖に…生意気な…。」
それから俺は苦しくて眠りついた。
「グスンッ グスンッ」
どこからか、泣き声が聞こえる。
「誰か居るのか…?」
「グスンッ グスンッ」
声が近くなってきた。近くに居るんだな…。
「誰か…居るのか…な…。…!?」
俺が見た光景とは
叶が赤い人形を持って泣いている。人形はとても大きくて、気味悪く、
叶が好きそうな人形ではない。
でも、叶はその人形をしっかり抱きしめている。
どうしたんだ…?叶…。
「由美子ちゃん…。こんなところに…怪我が…。 大丈夫…?」
涙声で赤い人形の名前を言い、髪を撫でている。
『由美子ちゃん』は、無表情のままだ。
カタッ
やばっ!!ドアにひじが当たって揺れる。
叶は…気づいてないみたいだ…。良かった。
…ん!? 人形の目が…動いて…る…?
グルグル目を回している。部屋を見渡している様子。
「…ッ!」
俺のほうを向いた!!! 目があっちまった!
赤い人形、『由美子ちゃん』は、視線を叶に戻し、
こう言った。
「カナウ オニイサン ノゾイテル」
ドキッ!!ヤバイヤバイヤバイ!!
そして『由美子ちゃん』がポッケから取り出したのは…
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