| アパートの外観からして、中は古臭い畳だと思っていたけど、 普通に綺麗なフローリングだった。 小さめのガラスのテーブルの上に、コトンと2つ麦茶の入ったコップが置かれた。
「・・・・で、何の用ですか。お2人さん」
寝起きの恭太は、あくび交じりに質問する。 何の用とは無いだろ、2ヶ月ぶりなのに・・・と俺は小さく苛立った。 俺がもごもご言葉を濁していると、陽介さんはハキハキと言葉を発した。
「久々に恭ちゃんに会いにきてんっ」 「昨日大学で会ったよねー。つーかほぼ毎日顔合わせてるだろーが」
そう言って恭太は前髪を上げている陽介さんの露出したおでこにデコピンする。 ・・・つーか陽介さん嘘付いたな。 俺がちらりと睨みをきかすと、陽介さんはてへっ、と笑った。 ・・うざい。
「ま、本当のこと言うと、たまたまこっちに用があっただけでな。 ちょろっと寄ってみてん」 「んー・・・じゃぁ帰れ」 「えぇっ!そりゃないわ恭ちゃんっ」
うわーんと泣きべそかいたふりをしている陽介さんを無視して、恭太は溜息を付いた。 俺はそんな2人を見ながら黙って麦茶をすすった。
本当は・・・本音を言うと、恭太にかまってもらいたかった。 でもそんな事を言う自分を想像すると吐きそうになるので、口を噤む。 そんな俺の心を見透かしたように、 いきなり恭太は俺の肩をしっかりつかんで抱き寄せた。
「ごめんね、これから一葉とラブラブタイムだから」
にっこりと一度笑い、それを見て陽介さんは何か捨て台詞を吐いて部屋を出て行った。 俺は自分の高鳴る心音に邪魔されて、何を言ったのかよく聞きとれなかった。 みるみる体中に熱が回るのが分かる。
しくじった。 不意打ちだ、こんなの。
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