|
「――那津!」
「おっす」
トシヤと俺は小学校からの付き合いで、胸を張って「親友」と呼べる存在だったし、中学に上がる頃にはトシヤがいない生活なんか考えられないほどになっていた。
奇跡的にも、クラスが別々になったことはなかった。
「ジャンプ読む?」
「読む! 超読む!」
いつも他愛ない話で笑って、いつも、本当にいつも、俺たちは一緒にいた。
“あの事件”が起きるまでは。
そして、その事件から、奇跡的にも同じクラスになることはなかった。
あんなに、あんなに仲が良かったのに。 俺たちは、離れ離れになってしまった。
その話をすれば、聞いた人は皆、彼を責めるだろう。 だけど、俺は「親友」だった彼を責めることをしなかった。できなかった。 それに、彼が当時、どれだけ辛い思いをしていたか、珂那太と出逢って痛いほど知ったから。
「――っやだ! やだやだ! トシヤ! やめろ!」
「黙ってよ」
「う、あ……! やだっ……トシヤ、お願い……」
「やだ。じゃあ、特別『キス』は、那津が俺を好きになるまで我慢したげる」
いつもと変わらない夕暮れ。 いつもの笑い声ではなく、俺の泣き叫ぶ声が響いていた。
「那津っ……好きだ」
「やだ! ……やめろ!」
聞きたくない言葉だった。 「親友」の彼からは、一度たりとも、聞きたくない言葉だった。
行為後パニックを起こす俺に、トシヤは最後に言ったんだ。
「ごめん」
|