| ああ、たしかあれは 地面が桜で溢れていた季節。
「鈴浦…ってあの鈴浦ですか」
桜もだんだん散り行く頃、…たしか5月の始め。高2だったか。 クラス替えが無かったからこの時期はもうクラスメイトが全員馴染んでおり 団結、といった雰囲気であった。
さて、鈴浦というのは その雰囲気をもろともせず 輪から一人孤立したマイペースな狼で 笑いもしないが泣きもしない そんでもって表情一つ作らない。
口数も少ないし家族関係はおろか友人関係すら分からない。 もうなにひとつ分からない謎のクラスメイト。
なもんで、段段浮き始めてきたわけだ。
さあ前置きが長くなった。 俺は神谷という。おかげさまで厚くなった人望を活用し学級委員なるものをやってるわけで。
担任に、未だクラスに馴染めない彼に声を掛けろ、という命を受けたのであった。
「そうだ あの鈴浦。」 「勘弁してくださいよ…俺あいつだけはまじで苦手なんです」 「おま それが学級委員長の言葉か!クラスメイトを愛せよ!」 「あはは愛してますよー(棒読み)」
とはいいつつ 仕事を受けたらこなさずにはいられない頑張りやさんな俺は とりあえず声を掛ける、までにこぎつけたのだ。
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