| 「んんッんぁ〜」
朝日の光で目を覚まし ふと時計を見ると、目覚まし時計が指していたのは、 予約した時間の1時間後、約束の時間の10分前だった。
「うわッやばい遅刻だ!」
大きな分厚い眼鏡をかけ、 地味な服を着て 大きなリュックサックを背負うと
ほとんど準備が終わる。
いつもは欠かさない朝食も、お母さんに 一言ごめんと言って
走って家を出る。
なんでこんなに急いでるかって? だって・・・今日はコスプレイベントがある日だから!
「あっ来た。遅いよ奈美穂〜」
ずっと待ってた様子の香織が時間が無いと 時計を指指しながら 困った顔をしている。
この子は、私の学校での唯一の友人。 滝野香織。 香織も結構なヲタクだから、いつも一緒に遊んでる。
「ごめんごめん」
笑いながらも走って駅へと向かう。
特急電車に乗れた途端、安心して体の力が抜ける。
「良かったね〜。」
「うん。そうだねッ」
何とか席に座って話し始める。
「今日ねッ声優のアズりん来るらしいよ〜」
「マジで!?うわー超楽しみ〜」
学校でもずっとこの調子のため、皆は あまり私たちに近づこうとしない。
まぁ私達もそっちの方が楽だから気にしない。
「あっ着いたよ〜じゃッ乗り換えよっか」
これから1時間30分かけて行く道のりは長い・・・
着いた時にはもう疲れてるかも・・・
そんな私が甘かった。
着いた途端に叫びだしてしまった。
「ギャーー!アズり〜〜〜ん!可愛いーーー」
私も結構な叫び声だったが、周りの人達の声もすごく大きくて、そんなに目立たなくてすみそうだった。
「奈美穂叫びすぎ」
香織に言われて我を取り戻した。
「ねぇッあの人有名人かな?超カッコいい」
私がそう言うと、香織が驚いたように口を開いた。
「へぇ・・・奈美穂って2次元以外の男に興味あるんだ」
「いや。無い。でもあの男アニメの王子様級にカッコいい」
香織がそっちを向いて 「あぁ・・・あいつ?私無理!」
「えっ何で・・・」
「ほら!あっち行こ!」
香織は私の問いに聞く耳持たず。
でも、大好きなイベント中、ずっと私の心はあの男 を探していた。
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