| オレはあの二人の居る病室を目の前にして、相当に気分を悪くしていた。 うぅ、気持ちワリィ…… オレはその場に片手と両膝を付いて、左手で自分の口を押さえた。 「しっかりするだ。」 オレが気分の悪さに苦しんでいると、病室の中からそんな声が聞こえてきた。 それはあの親父の声で、その声にはいつものような覇気が感じられ無かった。 親父はそう口にしてオレの身体が横たわるベッドに顔をうずめているお袋の右肩に左手を置いて、お袋の身体を軽く揺する。 たが、お袋に反応はなく微動だにしなかった。 少し前まで、自分の気分の悪さに気をとられて、全く気付かなかったが、お袋はさっきからまるで死んでしまったかのように動きを見せなかったのだ。 少しの間をおいてから、オレはゆっくりと立ち上がって、気が付いたら、オレは病室へと足を踏み入れていた。 さっきまでは気持ち悪くて、病室の前にいるだけでも嫌だったのに、オレは親父とお袋の居る病室へと入ったのだ。 いつもと違った親父やお袋の様子が気になって、自然に病室へ足を踏み入れていた。 何より、この幽体離脱した状態だったから二人に近付けたのかもしれない。 こんな状態でも無ければ、親父やお袋に近づく事すら進んではしなかっただろう。
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